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Reverse
男──黒曜の騎士は。相対する二人を片手で牽制しつつ。
振動する携帯電話を取り出し耳に当てる。

「はい」
『中断です』
「わかりました」

短く答え。電話を切る。
息を吸い込み手にした斧を──変化させる。大斧から投斧──フランキスカに。

振り払うように斧を投げつけ、二人が回避したところに弧を切って舞い戻る斧。
床に突き刺さり盛大に瓦礫を生み出す。

視界が閉ざされた一瞬をみはらかい。騎士は階段を通り階上へと駆け上がった。

二人はその手際に呆れつつも弾かれたように追う。


デパートの屋上。
人気のないアトラクション広場の所まで二人は辿り着いた。

少年の一人──津嶋は見渡すと。
耳の片隅に

ちりんと。

「──鈴の音?」


見れば。演上に一人の年端も行かない少年が。
その少年の肩に灰色の猫。背後には先ほど追ってきた男の姿。


「”永久に輝く黄金”は”烈火の仮面”に始末されました」

少年から告げられるその言葉を聞いて。安堵する。
今回はやったんだ。

「星の継承試験も頓挫しましたので我々はこれにて失礼します」
少年は軽く会釈する。それが上に立つものの務めであるかのように。頭を下げた。

「ふざけないでよ!」
試験も試練もゲームの事だけならいい。でもこれは現実の話で。
人が死に、人が傷つくリアルの話なのだ。

それをなんでもないように。眼前の少年は。告げた。

津嶋皓は其れを許せず。傷に耐え。叫んだ。

どす、と少年の前に矢が突き刺さった。

津嶋皓に追随してきた少年…北条亮が油断無く弓を構える。

「でもさ。監督してたなら上の者が責任取るべきだよね」
もう一本。緩やかに弓弾く。
「僕──結構怒ってるよ」



「これが。僕の役目ですから」
感情のこめられていない淡々とした口調。

では、失礼します。
そう。もう一度いい。

「恭平さんによろしく言っておいてください」


「うるさいなぁー」
どひゅーんどひゅーん。
KY的に放たれた矢が少年──ロコを幾度も貫く。

「あ」
「あ?」
「あー?」
「にゃー」

場にいる三者三様のそれぞれの口調。


ロコの身体がフェンスを乗り越えて
イナヴァウアー状態になって

「あー」と小さな悲鳴を残して落ちていった。





この事件によりアルカナセルとよばれるファルスハーツの古参セルは消滅した。
しばらくはUGNのネット掲示板に「KY!KY!」「亮乙!」「おお・・・ブラボー!」とKY祭が続いたそうな。


めでたくもなし。





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